【天狼院記事更新】「私のこと好き?」という呪いの言葉
「ねえ、私のこと好き?」
彼女の声が電話越しに届く。
「好きだよ」と僕は答えた。
「じゃあ、私のどこが好き?」
やっぱりそうきたか。この質問に僕は少し緊張した。
「君の目標を決めて、計画的にやれるところが好きだよ」
「大人しそうに見えて、実は強い意志を持っているところだよ」
彼女はたまにこの困った質問を投げかけてくる。同じ答えで応えることもあれば、違うことを返すこともあった。この言葉がどう伝わるかは日によって少し変わった。ただできるだけ思っていることを返そうと思って返す。
応えにくい質問だけど、その言葉になんて返そうか考えるのは楽しかったし、なんだかんだ答えられないということもあまりなかった。たまに納得していないこともあったけれど、ほとんどの場合喜んでくれた。彼女の思ったことをストレートに物を言う性格は僕にないもので羨ましくもあった。
それが変わっていったのは僕が大学を卒業してからだ。
「私のこと好き?」という呪いの言葉
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