君と僕の物語探検隊

迷えども、前へ。

伝えたい想いが伝わらないあなたに

僕は口下手だ。

考えながら喋るということが得意じゃないし、まどろっこしい言い方をしてしまう癖がある。

頭の中で整理しきれなくて、話があっちこっちに言ってしまって、論点がわからなくなってしまったり、それで伝えたい想いがうまく伝えられなかったことが多々あった。

それも悩みのタネだったけれど、もっと頭を悩ませる問題があった。

「で、お前はどうしたいの?」

この問いかけである。この問いがすごく苦手だった。

この言葉だけはどれだけあれこれ伝えたいことを考えても伝わらなかった。

「いや、これはこう考えて、こうだと思ったんです」

苦労してあれやこれや言葉を尽くすけど、ほぼ絶対に納得はされない。

「本気でそれをやりたいと思っている?」

と聞かれると何も言えなくなってしまうのだ。ぐっと言葉に詰まってしまう。

かたや、言葉はうまくないのに、言葉に説得力があるという人もいた。僕もうまくはないけれどそれ以上に喋るのが、下手だ。

だけれど、その人には独特の説得力があった。不言実行というか、黙々と仕事をする。

「やれると思うか?」

「やれます」

上司とのやりとりは短い。だけど、その言葉に説得力があった。

これまでに同じような状況で対処できてきた、実績があって、その行動の積み重ねが実績として機能しているからだ。という人もいる。

それは確かに一理ある。ただそれだけなのかと言われると正直少し納得がいかなかった。だって誰もが最初からできていたわけじゃないし、その人だからできたなんて、僕にとってはなんの助けにもならなかった。

そんなときに出会ったのがこの本だった。

コピーライターであるこの本の作者がこの僕を見たら多分こういうのだろう。

「言葉にできていないとは、考えていないと同じことだ」

伝わらないのは口が下手だからでもなんでもない。言葉にできるほど十分に考えられていないだけだ。

言葉とは思考の上澄みにすぎないのだから。

「考える」という行動が足りていなかったのだ。

これまで20数年間悩んできたことを短い言葉でばさっと切られてしまった。

でも思い当たることはあったのだ。確かに「計画を立て類」はしていたけれど、僕は「誰がどうやって、そのことを実行するのか」、そんな単純なことを考えていなかった。

いや、考える気がなかったのだ。自分が実践するという心構えではなかったから。

だから言葉に力がないなんてはっきり言えばごくごく当たり前のことなのだ。



大事なことは論理的なことでも口が上手いことでもない。

言葉に重さがあることだ。



僕は今まで行動が伴っていないから、言葉に説得力が足りないと思っていた。要はそれを見てくれる人がいて、成り立っているのだと。

そうじゃないのだ。言葉になる前にどれだけ考えを巡らせているかが、言葉に力を持たせるのだ。



僕は「本当にそれがやりたいと思ってる?」

と聞かれて、どう答えるか迷った理由がここにきて見えてきた。

やりたいと自信を持って言えるほど考えつくされていなかったのだ。

考えるという行為は人に見られることはそんなにないかもしれない。でも僕の一瞬の迷いは自分の考えを自信を持って示せるほど、考えつくされていないことを示してしまう。



「どう論理的でわかりやすく伝わりやすい表現をするのか」

が伝わる言葉の条件だと思っていた。

とんでもない。どれも必要じゃないのだ。せいぜいあった方が良い、くらいのものでしかない。



自分の中で思考を重ねて、口にする言葉に重さと硬さを加えていくという思考を深めていく過程が足りなかったのだ。

この本は表現のノウハウ本ではない。

どうやって言葉に重さをもたせたらいいのかを方向性を示す本だ。

実践とトレーニングのための本だ。

コピーライターさんの書いた本だけれど、コピーライターの人だけが読む本ではないと思った。

文章や言葉を伝える仕事をする人だけのものでもない。

何気ない日常で僕のように言葉をうまく伝えられなくて、もどかしい思いをしている人のためにこの本はあると思った。

伝えたいものがうまく伝えられない、そんな人にどうやって考えるのか、方法を示してくれる。

具体的な答えはこの本にはない。「自分の言葉」を見つけられるのは「自分だけ」だからだ。

そうしたら、徐々にだけれど、「自分だから力を持つ言葉」が生まれるのだ。

こうやって考えると、伝わらないと悩んでいたとき本当に伝えようとしていたんだろうか? という疑問が湧いてくる。

悩んでいただけで伝えたいと本気で思っていなかったんではないだろうか?

今思えばそういう気もしてくる。言葉とは「自分の望みを伝える手段」なんだから。



「言葉にできる」は武器になる
梅田悟司 著

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