自閉症スペクトラムの僕が一緒に働く人にお願いしたいこと
上手くいかないなりに試行錯誤して気づいたこと。
怖がりで前向きなライターのじょーです。
今まで普通の人が何でもないようにこなすことを何回トライしてもうまくいきませんでした。
そうして僕はあるとき軽度自閉症スペクトラムであることを去年11月に診断いただきました。
そうやって診断される前のあいだ、僕は試行錯誤して、たくさんの仕事を転々としてきました。
結果として、評価につながったことはあまりないというのが正直な実感ですけれど、それでも自分なりにいろいろわかってきました。
環境や周りの人の理解の状態で自分のパフォーマンスは1から半分以下にもなってしまうことがあるということもわかってきました。
僕は周りを見るのが苦手で1点集中してしまいがちです。
1点に集中しすやすいから、臨機応変が苦手ですし、あっちこっちで人や状況が入れ替わるような、環境が目まぐるしく変わる場所では集中しづらいです。
とっさの判断を求められ、深く考えずに結論を出して、会社に損害をだしたこともあります。
また、関心がないことには集中できず、やりたくないことを先延ばしにしがちです。
そして、やりたくないことに大しては、どうやっても集中しきれていないままになってしまうこともあります。
その環境の中で特に「周りの人」の影響は大きいです。
僕の働く仕事のパフォーマンスは「一緒に働く人の指示の出し方」に大きく依存してしまうということ。
これは僕個人の体験談からくるお願いですが、他の自閉症の人にも多少当てはまることはあると思います。(ただし、発達障害の症状はかなり個人差があるため、一概には言えません)
今回は個人的な体験に基づいて、働くときにこういうことを意識してくれるとやりやすいということを自分なりにまとめました。
理由も説明しないで怒らないで欲しい。
曖昧な言葉で叱るのはやめてください。
空気を読んで欲しいなんてもってのほかです。僕も理解する努力はしていますが、曖昧なものに対する理解力は高くないので、全く理解できないまま
「アレ」とかアバウトな指示は理解しづらいので、人の1.5割増で具体的に指示してください。(できれば確認させてください)
いっちばん困るのが、指をさして、「アレとって」なんていうのが仕事をするときには本当に困ります。
さされた先に対象が2つあると、どっちなんだろう? って思いがちです。そして、結果間違えて怒られる。僕自身このパターンは何回も経験してきています。
例えばですが、「一番右の棚の3段目の真ん中あたりにある『顧客情報』って書いてあるファイルを取ってほしい」、とかそういう指示の出し方をしてもらえるとすごく理解しやすくて、助かります。ただそれでも間違える可能性はないわけじゃないので、どんな些細でも、復唱して確認させてもらえると、もっとやりやすくなります。
「こんなこともわからないの?」って思わないでほしいです。
曖昧な指示と関連するのですが、かなり初歩的なことでも、ちゃんと理解できているかどうか意識してください。
僕はどんなに些細な指示でも、基本的に復唱して確認します。そうしないと忘れたり、自分の理解が間違っていることも珍しくないからです。
そうしていると、
「いや、そっちの書類じゃなくて、こっちだよ」と訂正してくれる場合もあります。
たまーにあって困るのが、「一々、確認されるとうっとうしい!」とか、「そんなことくらい自分で考えてくれ」とか、そうやって会話を打ち切られること。
そうすると意思疎通のずれができる可能性が増え、ミスが増えます。
そして、指示に対して理解力はあまりなくても、相手がどう思っているかには割と敏感に反応してしまいます。
指示はわかっていなくても、相手が自分のことを馬鹿にしてたり、呆れてたりすると気づきます。(みんながみんなそうとは限りませんが)
できないことは人と比べるとかなりひどいレベルかもしれません。
でも、そうじゃない部分は人並みにできますし、得意なところは一般的な人よりかなりできることもあります。
僕の場合は「視覚的認知機能」や「複数のことを同時並行でやる能力」が弱いですが、「人がどういう感情をもっているか」や、言葉を扱う能力はそれなりに高いと思っています。
偏見を取り除いてみれば、「普通」の人と感情が比べて特殊なわけでもありません。罵倒されれば傷つきますし、楽しいことには喜びます。
理解する能力が極端に低く、そう見えるだけだと思っています。
イライラすることはあっても、あまり怒らないでくれると助かります。
僕は怒られるのが物凄く苦手です。
それが苦手なだけならいいんですが、仕事のパフォーマンスに思っているより影響します。
苛立つ気持ちがわからないわけではないんです。
上に書いてあることだって、日常で、しかも忙しい中に丁寧に説明するのは骨です。
それだったら、ほかのだれかに頼ったほうが時間のロスも少ないですし、ストレスもかからないでしょう。
だから、苛立たせて申し訳ないなとは思います。
ただ怒られる→ミスする→ミスが増える
なんて負のスパイラルにはまってしまうことがあります。判断力が低下して、思考するエネルギーもなくなってきます。
自律神経が乱れきっている状態なんじゃないかと、個人的には思っています。そうやって気持ちを崩してしまうと1時間、ひどいときはもっと長い時間回復にかかってしまうことがあります。
僕は現場仕事をしていた経験が一番長いので、そういうことがなおさら苦手だと痛感しているのかもしれない。
感情をできるだけ前向きになるようにしてほしい。
これって多分ですけれど、わがままに思えますよね。
誤解がないように言いますけれど、甘やかしてほしいわけではありません。ダメなことはダメと言ってくれるのはありがたいことです。
仕事への姿勢がパフォーマンスに与える影響が人より大きいからです。
僕は社会人になってから、周りから評価されず、怒られることが多くありました。
そうして、僕にはやりたくないことを先延ばしにする癖が付きました。
やりたくないことをやるとより多くの時間を取られてしまうからです。2時間たっても、一歩も前に進んでいないということさえありました。
できない言い訳がしたいんではないんです。これが社会人としては絶対に間違っていることなんて承知しています。
「やらなきゃいけない」という気持ちはあって、それでも身体は動きませんでした。
やらずにいて、お客様に迷惑をおかけするのも、上司に迷惑をかけるのも嫌な気持ちもあったにもかかわらずです。
今は「やりたくないこと」をそう思わせない工夫をすることで、対処したりもしました。嫌なことをやったときはそれが些細なことでも、自分のことをものすごく大げさにほめてみたり。
「やりたくない」という意識は僕が仕事をするうえでは絶対に回避すべきことだと思っています。
最後に:自分だけではうまくいかない。だからこそのお願いです。
人と認識が違って変わったやつに思えるかもしれません。わがままな奴に思えるかもしれません。
否定はしません。それでも、僕にとってはパフォーマンスを少しでも高めるのに必要なことだと思っています。
「対等」に人とし接してほしいってことなんです。
だから「普通」とか「一般的に」とかそういう先入観を捨ててください。
丁寧に説明する意識と、どんなにくだらない質問だと思えても、こちらが真剣に聞いていると思ってほしい。
そうしてもらって、上に書いたことをやってもらえると僕が働くうえではものすごく働きやすくなります。
前向きになり、できないなりに試行錯誤のスピードは確実にあげられます。
会社で働くとき、僕がきちんと自律して対処できればいいのですが、いろんな場所で仕事をしてみて自分の力だけで解決するのは難しいなと感じています。
ですから、全部できなくても、この意識を持ってもらえるだけで僕の場合は絶対にプラスに働きますし、そうしてもらって働きやすくなる発達障害の人はいると僕は思っています。
ではでは!
※この記事は僕の体験をもとに書いたもので、科学的根拠があるわけではありません。
ですので自閉症スペクトラムの人全員に当てはまるわけではありません。